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               築地市場や魚と流通に関する話題

築地市場の店舗移動
平成16年05月05日

築地市場の水産仲卸売り場、約900社1600コマ!の店舗移動がありました。(9年ぶり)

 ゴールデンウイーク期間中の5月2日、3日、4日の3日間を利用して、前回から実に9年ぶりとなる「店舗移動」が実施されました。
 大工や電気、冷蔵庫、電話など設備関係の業者千人超が築地に集結し、水産仲卸の約900社1600コマの店舗の立て替え、引越しが一斉に行なわれました。

 

北田本店の新店舗は3013〜3016(第1大通路のカド、旧店舗の通り1本セリ場寄り)になりました。
北田本店のできるまで(写真)

水産仲卸900軒が一斉に立て替えと引越し
 築地市場の水産仲卸売り場は、従来4年ごとに店舗移動を行ない、すべての店舗を立て替えて引越しをするのが昔からの慣例になっていました。
 単に引越しと言っても、今使っている店舗を壊し、新たに店舗を建築して引越さなければならないので、仲卸にとってはかなりのコスト負担となる一大事業と言えます。実際、当社の場合で極力安くしても数百万円の出費になりました。
 このような負担をしてまで店舗移動を繰り返してきた理由とは
(1)店舗格差の解消
 現在の築地市場は関東大震災の後に、江戸時代からの日本橋魚河岸から移転して今の形になった。
 市場内の設備配置は、当時の貨物輸送の主力であった鉄道の貨物引込み線(現在は廃止されている)の曲線にそった形に卸売り場、仲卸売り場が配置された。そのため、仲卸売り場は不思議な扇型の配置となり個々の売る場位置によって使いやすい店舗と不利な店舗の格差ができてしまう事になった。また全体が扇型のため、扇の外周と内側で店舗の面積に微妙な差発生する事にもなっていた。
 店舗移動により、入れ替えをしてこの不公平を解消するため。
(2)コマ数増減への対応
 築地市場の仲卸は基本的には開設者である東京都の許可事業であるのだが、「鑑札(カンサツ)」の売買によって店を大きくしたり新規参入したりといった事が慣例となっている。(反対に廃業したり店舗を縮小したりする仲卸も当然いる。)
 景気が良い仲卸が鑑札を買った場合、その店舗は今の店舗とは別の場所になるので使い難い。鑑札を増やした仲卸は店舗移動の機会に今の店舗と併せて新店舗に移動したいと考えるのは当然のことです。
 このため売買される鑑札の値段は、店舗移動の時期が近くなると高くなる傾向があるという話さえあるほどです。
(3)開設者(東京都)の意向
 今回の店舗移動は、実は予定外の店舗移動とでも言うべきものでした。
 築地市場は前回の店舗移動(9年前)の時点では、「現在地でのローリング工法による再整備」を行なう方針であり、そのため現在の築地市場での店舗移動は前回が最後となる筈でした。ところがその後、東京都の方針が一転して豊洲への移転に変わったため、最後になる筈の前回から9年を経過しての店舗移動の実施という事になったのでした。
 仲卸の中には当然、「今のままで良い、今さら店舗移動は必要ないのではないか。」とういう意見も多かったのですが、豊洲移転まで現在のままと言うことになるとやはり不公平、店舗移動を行なった方が良いということになったわけです。
 また、開設者である東京都が店舗移動の実施を強く求めたという事が今回の店舗移動の直接の理由であったのも確かです。
 前回の移動から9年間の間に廃業してカラになってしまった空き店舗も多く、これらの処理を早くしたい。また、本来許可事業である筈の仲卸が10年以上も同じ場所で営業を続けると、営業権など別の問題が発生するのを警戒した、という事もあったかもしれません。

取り壊した店舗のゴミの山

●「民族大移動」
 店舗移動の3日の間は、築地市場は数千人の工事関係者や市場関係者、資材の搬入の車などで終日大混雑となりました。
 5月1日、2日の両日はどこの店舗も深夜まで解体工事、造作工事に追われ、徹夜の作業となった業者も多かったようです。5月2日の午後までに今まで使っていた店舗をすべて取り壊し、次に使う仲卸に引き渡す決まりだったが、この解体のゴミだけでも膨大な量になった。(上の写真)
 5月3日、4日の両日は、新しい店舗の組み立てや看板工事、ダンベなど設備の工事、電話工事などの業者が入り乱れ、場内は深夜まで工事の騒音が止まなかった。
 

写真左:取り壊しが終わった仲卸店舗。何もない状態だと実にシンプル。これで4コマ分。
写真右:冷凍庫(ダンベ)の仮り置き場。機械が傷む、コストはかかると結構大ごと。
写真右:看板の書き換え。

●今回の店舗移動で見えてきたこと

 新しい店舗の場所は、「くじ引き」によって決まります。これまでもこのくじ引きの際には、神社仏閣に参拝したりして、良い場所を引き当てた人とそうでない人の悲喜こもごものドラマが毎回繰り返されてきました。今回も同様のドラマがありましたが、今回はこのような店舗の場所の良し悪しがこれまでのように熱くならず、どこかシラケた空気も感じられました。。
 築地の仲卸も勝ち組と負け組みがはっきり分かれてきていて、鑑札を買い増して店舗を拡大している仲卸もいる一方で零細な仲卸は跡継ぎがいない、先行きの見通しが立たないなどの理由で廃業するケースが多くなっています。
 また一部の大規模経営のグループ会社の仲卸では、ビジネスの主力を場外に置いていて、配送まで含めた総合卸売や食品メーカーとしての仕入れ部門として仲卸部門を活用しているといったケースも多くなってきています。(当社もその傾向がありますが)
 いわゆる負け組みの仲卸では、今回の店舗移動の機会に廃業を選択した業者も数十件にのぼり、これからも増えそうな情勢です。このような廃業した店舗の中には、あとがまが決まらないまま「空き店舗」の状態となっているコマもあるほどです。このようなケースは築地市場では過去の店舗移動まではあり得なかった事で、今の厳しい状況を象徴しているようです。
 という訳で、前売り主体の小規模な仲卸はともかく、ある程度以上の規模の仲卸業者にとっては「売り場の良し悪しは大勢に影響なし」という意識に変わってしまいました。
 仲卸も自分の存在意義を根本的に問い直し、構造改革が必要な時代という事でしょう。


普段はプロしか入場できない築地市場
築地市場周辺は、東京都の管理する「中央卸売市場築地市場」(通称;場内)と一般の人も自由に買出しができる場外に分けられます。
このうち都の管理する築地市場(場内)は卸売り市場のため、普段は魚商や寿司屋などのプロしか入ることのできない世界で、一般の人にはちょっと敷居の高い感じのする場所かもしれません。
 最近は観光客など一般の人が場内に入場している姿を見ることも珍しくなくなりましたが、それでもセリ場はもちろん仲卸の売り場などで実際に魚を買う事はかなり慣れた人でないと要領がわからず難しいのが現実です。
 しかし場外市場の方は一般の方大歓迎の店がほとんど。まず場外市場でなじみの店を作り、そこで情報収集をしてから「場内市場」へ突入するのも良いでしょう。

LINK 前回の市場まつりの予告
LINK 前回の市場まつりのレポート
LINK 築地場外市場のホームページ 場外市場のイベントのご案内があります。
LINK 前々回の「鮭の日 無料配布キャンペーン」のレポート。

(北田喜之助)


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