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               築地市場や水産物流通に関する話題、魚や旨い物に関する話題など

展示会×3

平成12年3月9日

FOODEX JAPAN 2000

 毎年、今の時期は食品関係の展示会があちこちで開かれています。そのうち、食品関係の展示会としてはおそらく国内最大規模と思われるイベントが幕張メッセで現在開催中のFOODEX JAPANです。さらに東京ビッグサイトでは「ホテルレストランショー」も開催されていて、昨日(3月8日水曜日)の休市日にこの二つの大きなイベントを駆け足で見てきたところです。

FOODEX JAPAN 会場(幕張メッセ)
入り口はこの行列!。
会場内(海外ゾーン) 中国の展示コーナーにて冷凍野菜の説明を聞く
北田喜嗣、高見屋食品社長

FOODEX(海外ゾーン)

 毎年この時期になると、あちこちの取引先から展示会の招待状が届く。展示会といってもさまざまで、当社とあまり関係ない物は別として時間と関心があるものについてはなるべく見に行くようにしているのですが、FOODEXはその中でも最大規模の展示会でありここ数年殆ど欠かさずに見に行っている展示会です。
 まず会場には午前中に着いたにも関わらず駐車場が半分以上埋まっていて、会場入り口に入場待ちの行列が出来ているのにはビックリでした。一般の人の場合、入場券が何と¥5000!!もするにもかかわらずこの行列です、みんな余程ヒマなんだな〜!と妙な感心をしてしまいました。(多分、ほとんどの来場者が招待券持参でしょうが)
 会場内は例年通り、世界各国からの参加を集めた「海外ゾーン」と国内参加企業を集めた「国内ゾーン」、そして時流を反映して有機食品などを集めた「オーガニックゾーン」などで構成されています。
 最初に入場した「海外ゾーン」では、例年最大の展示を行なうアメリカを始め、オーストラリアやカナダ、欧州各国、そして最近では中国を筆頭にアジア各国の展示も増えてきました。
 年々少なくなる水産物の展示
 私たちは水産業会ですから当然のこととして水産物の展示に興味があるわけですが、残念な事に毎年この展示会では、水産物の展示が年々少なくなっているようです。(特に海外ゾーン)
 当社ではかなり以前になりますが、アメリカの商務省の関係で、縁あってアメリカのブースの展示をお手伝いしていた時期がありました。その頃はアメリカの展示でも、例えばアラスカ州のサーモンなど海産物の展示も多く、日本に積極的に売り込もうという意欲が感じられたものです。
 しかし数年前から、水産物の展示はめっきり少なくなり、それに代わり、ワイン、畜肉、米、冷凍野菜などの農産物の展示が爆発的に増えて行きました。特に数年前の「ワイン」の爆発的ブームの影響でアメリカ、チリなどの水産国を含め、どこの国の展示もワイン一色となり、水産物の展示はすっかり脇に追いやられ、そのままとなっています。
 これは多分、今まで規制の多かった農畜産品の輸入が自由化され売り込みができるようになった機会に、そちらを重点的に売り込んでいるという事なのでしょうが、もう1つの理由として水産物に関しては「こちらから売り込まなくても、日本人はむこうから魚を買いに来る。」と思われているフシもあるように感じます。 
海外ゾーンで最大のアメリカ合衆国のブース。 チリの養殖銀鮭を使った製品の試食
(タサール社)
こちらはオーストラリア、タスマニア島産
養殖鮭のPR
全般的に海外ゾーンでの水産物の展示は少なく、殆ど目立たない程度。がっかりです。

FOODEX
(国内ゾーンなど)
 同じ業態に収斂して行く国内企業群

 国内ゾーンでは、大手水産会社や食品メーカー、ハムソーメーカーなどの常連が展示を行なっています。
 この国内ゾーンの展示を毎回見ていて、はっきり気が付く事がひとつあります。それは「水産会社の展示もハムソーメーカーの展示も内容が似て来て区別がつかなくなってきた。」ということです。
 例えば、ある大手水産会社の場合、一昔前は展示の中心は本業である水産物が中心で、生鮮や冷凍の魚が所狭しと展示され、加工品は脇役でした。しかし現在では、冷凍食品や業務向けの半加工製品が展示の中心となっていて、素材は水産物に限らず肉野菜なんでもありという感じです。昔の水産会社のイメージはほとんどどなくなり、「基本的に冷食、食品メーカー だが水産物の素材にはこだわりがある。」という程度の違いしかなくなっています。
 同じ事がハムメーカーなど他の業種にも起こっていて、元々の業種にかかわらず、行き着くところは皆同じ、「食品メーカー」という事になってしまいます。
 そしてこの結果、水産会社、ハムメーカーなど全ての企業が同じような製品を作り、昔は商品別に棲み分けがあったであろう同じスーパー、量販店、外食産業、そして一般消費者などの顧客を、入り乱れて奪い合うという未来が見えてきます。(ア〜恐ろしい!)
 
上:ニチロ(水産会社)の展示。加工、調理済み製品が殆んど。
  魚の展示の場合も、焼き魚など何かしら加工されたものが多い。

下:ニチレイ(大手冷食メーカー、潟jチレイの金田会長は冷凍  食品業界の会長でもある。)の展示はH.M.R 中心。

他のハムソーセージメーカーの展示も大半が同じような内容。
元々どんな会社だったのかに拘わらず、目指す方向性は皆同じ。


ホテルレストランショーと轄食の商品展示会

 同じ日程で、臨海副都心の東京ビッグサイトでは「ホテルレストランショー」が開催されています。
 FOODEXは食品の中身自体の展示会ですが、こちらは調理機械や包装機材、衛生機材など、食品の周辺の展示が主体です。私はこのうち、現在計画中の焼き魚用の「魚焼き機」と切り身製品用の「包装機」に関心があったので、幕張からこちらへ転進しました。
 食品調理機材の世界では、現在、焼き物や煮物、蒸し調理などたいていの調理が自動的にできる「コンベンショナルオーブン」が一種のブームになっているようです。
 会場で実際にデモンストレーションをしながら試食もしているのを見ていると、確かにかなり使えそうなレベルにはあるようです。但し、一時に多種の料理を作る必要のあるホテルやレストラン向けには良いかもしれませんが、高見屋や北田水産のような業種で使いこなせるかは「?」でしょう。
 
 とは言え、調理用の機械の進歩には目を見張るものがあります。H.M.R.の時代なればこそ、この種の技術の進歩からは目が離せないと思って見ています。
 
今回は焼き魚の機械の候補として考えている「フジマック」さんの展示で、昨年目をつけていた機種に新型が出ていたのが収穫でした。
 これは単にジェットオーブンで魚を「焼く」だけでなく、スチームを同時に吹き付けることで「蒸す」まではいかないまでも、乾燥を緩和できるというモノで、期待できそうな気がします。
 この「焼き魚プロジェクト」はできるだけ早い時期に立ち上げたいと考えています。これにより、今まで狭い売り場で店員が手焼きしたり、運び込んだりしていた「魚がし北田の焼き魚」を、冷めてもパサパサにならないものにレベルアップできればと思っています。
合食さんの展示会
 展示会の話題が続きますが、今日(3月9日)神戸の食品メーカー、轄食 さんの商品展示会が、箱崎のロイヤルパークホテルで開催されました。
 合食といえば、元々が神戸の市場荷受という事で、メーカーといってもイカ製品や鮭フレークなどのイメージしかありませんでした(砂川さんゴメンナサイ!)。が、展示会を見てすっかりイメージが変わってしまいました。
 この会社の場合も、やはり魚そのものの素材だけでなく、業務用の半加工品や、コンビニ向けの製品の数々などやはり「総合食品メーカー」的な志向がはっきりと現れていました。
 アピールしている商品は、合食さん得意の「おつまみ」製品から、冷食製品、更にはビーフジャーキーに至るまで、多種多様な圧倒的な品揃えでした。
 水産物専門の荷受けという、安定した、どちらかというとぬるま湯的な業態から企業内容をここまでドラステイックに変貌させるのはさぞ大変だったろうと想像しますし、ここまで変革したエネルギーには頭が下がります。関西商人のド根性というか、保守的な東京の水産業会にはない何かがあるのかもしれません。
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写真上:珍味製品中心に重点的にアピール。

写真下:コンビニ、スーパー用「おつまみ製品」の圧巻!。

展示会というもの

 一口に展示会といってもFOODEXのように、多くの国や企業を対象に企画するものから、合食さんの展示会のような個々の企業が行なうものまでさまざまな形態があります。
 FOODEXの展示が、どれも似通ったものになるのは、どの出展者も、一般的な来場者を同じように想定して展示内容を考えるからで、これはどちらかと言えば何かの「きっかけ」を求めていると解釈すべきと思います。
 それに対して、合食さんのようなケースは、より具体的で、商談までを含んだより内容の踏み込んだものになっています。

 生産者と消費者の出会う「場」としては、従来は卸売市場や伝統的な複雑な流通機構がありました。しかし現在では生産者と消費者の中間が省略され、それぞれがバラバラに商品と情報のニーズを求め合うようになってきました。
 このような場合、生産側からのアクションとして「展示会」のようなものは益々必要になってくると思われます。情報通信技術やインターネットが普及しても、実際に商品を展示して直接面談できると言う点で欠かせないものと言えるでしょう。
 当社も含め、築地の業者は従来、この種の展示会の出店には消極的でした。これは費用の問題もさることながら、その企業のスキムに展示に値する内容があるか否かという事だと思います。その意味で築地から「和田久」さん(かつおぶしとお茶)が独自に出展していたのには驚きました。(前日、社長の和田さんと一緒に会食したが、この話題は出なかった。)

 はっきり言って、私は展示会が好きです。工場見学の次に好きです。
 この種の展示会や、他社の工場見学などは、物事に対する興味と自分なりの課題を持っていれば、毎回、何らかの「発見」があります。この「わくわく感」や好奇心がなくなった時が来るとすれば、多分、自分が精神的に老いて、引退すべき時なのだろうと思います。
 とは言っても、この二日間は本当に疲れました。同じ時期に3箇所の会場を回るのは大変でした。FOODEXとホテルレストランショーは同時にやるのであれば、せめて会場を1箇所にまとめてもらえればありがたいと思います。幕張と臨海副都心の移動は大変ダゾ!!。

(北田喜之助)


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