築地市場や水産物流通に関する話題、さかなを中心に「おいしいもの」に関する話題など。気の向くままに集めてみます。


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カナダ出張に引き続き、個人的に夏季休暇をとっていましたのでしばらく間が開きました。追いかけアップします。

改正市場法の説明会
平成11年8月31日

築地市場内、東京都講堂での講演の様子。
講演するのは農水省食品流通局市場課長、本川一善氏

「フォーラム21.どう変わる卸売市場」
主催:日刊食料新聞


 私がカナダから帰国した翌日、8月18日に、日刊食料新聞社主催のフォーラム「フォーラム21.どう変わる卸売市場」が築地市場で開かれました。
 市場関係者ならご存知と思いますが、今までの卸売市場のシステムの根拠になっている卸売市場法は、基本的に大正12年にできた法律であり、近年の流通事情の変化に対応した「改正市場法」が今年7月26日に公布、施行されました。
 今回はその法改正の当事者の説明会ということで市場関係者の関心も高かったようです。

 今回のフォーラムは、農水省の本川課長より、法改正に至る事情の説明、および今後の課題についての講演があり、続いて少しの間質疑応答というスタイルで行なわれ、会場は市場関係者の聴衆でほぼ満席となりました。
 講演の内容の要点は
・少子化、人口の減少により食料流通は減少に転ずる。この基本認識に元ずく対応。
・市場外流通との競争および市場間競争はますます激化し、市場はこのままでは衰退する。それに対応した法改正だった。
・荷受、仲卸の経営体質強化のため、積極的に提携、合併大型化をして欲しい。
・市場での取引方法について、従来の「せり原則」を見直し、取引をより「効率化」する。
・具体的な法の運用については、市場開設者(築地の場合は東京都)に任されており、都は来年3月の議会に業務規定の見直し案を出す予定である。
 といった事の説明でした。
 全体に今回の法改正は、時流の規制緩和の流れに乗って、せり原則をはずすなど「現状を追認する形での規制緩和」といった印象が強いように思います。
 特に取引方法については、大型量販店対応のニーズから「せり原則の弊害」がヤリダマにあがる事が多く、今回の法改正でいよいよ大手をふって量販店による「先取り」(大型店などがセリに上場する前の商品を買い取る事)が行なわれることになりそうです。
 首都圏には築地以外にも数多くの卸売市場があり、大手量販店などは自分達のわがままの利く市場を優先的に利用する傾向があり、それら近郊の卸売市場では大量販売が見込める大型量販店の利便を図り、スーパーや量販店の仕入れ配送センターのような様相になっている所もあります。それに比べ築地市場の場合は、やはりプライドがあるせいか量販店対応も控えめな形でしか行なっていなかった印象がありますが、それもこれからは変化しそうです。

 講演後の質疑応答では、当社の所属する北洋物業界の中島会長が質問し、「市場流通の活性化というが、今回の法改正では取引の効率化に重点が移り、本当の意味での市場流通の復権にはつながらないのではないか?。聞くところによると現在でも一部の荷受は、荷を直接買参の業者に市場外で納品し、帳面だけを荷受の売上にカウントしているケースがあるそうだが、これでは市場の扱いが増えた事にならないのではないか?。」
 これに対し、本川課長は「会計上、荷受会社の売上に計上されるのであるから、市場流通にカウントできると考える。」との答えでした。

 マア、いずれにしても従来の、(荷受)⇒(仲卸)⇒(鮮魚商)という形が、(荷受)⇒(量販店)という形に変化する流れはますます加速する事になりそうで、当社を含め(仲卸)はますます苦しい立場になりそうです。

 ところで、このフォーラムは市場関係者すべてに参加の誘いがあった筈なのですが実際の聴衆の顔ぶれを見ると、荷受会社の姿が目に付き仲卸らしい人の姿が殆んど見えないようでした。
 今回の法改正は仲卸にとっては、その存在基盤を揺るがしかねない要素を含んでいるにもかかわらず関心が低く、危機感もまったく感じられないのはどうした事でしょうか?。
 仲卸は既に疲弊してしまって、難しい法律の話や将来の構想を考える余裕すらないという事なのか、それとも「お上」のやる事だからとあきらめてしまっているのか、重大な話の筈なのに「思考停止」状態になってしまったようです。
 講演の始まる聴衆席で、荷受の従業員が仲卸の者に「仲卸さんの出席は少ないネエ。仲卸さんこれ(法改正の内容)で本当にイイの?。」と不思議そうに尋ねていました。
 実際の話、仲卸にとって「これで良い筈はない」と思うのですが。

(北田喜之助)


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